[1998/12/13]

「ピカチュウげんきでちゅう」で遊んでいます。
「たいわゲーム」であって対話ゲームではないのだ。

アカネのもり、トキワのもり、モエギそうげん、と毎日
ピカチュウと遊びに行くのだけど、使えるボキャブラリーを
把握できないうちにシーンが終わってしまう。

音声対話システムを利用者が使いこなすために必要なのは
タスクとドメインに関する知識と、システム状態の的確な把握。
ここで俺は見事に負けている。
「10万ボルト」とか「ナゾノクサ」とか「フシギダネ」とか
そういう語彙がささっと連想できて、何を投げさせたり
何を集めたり、どのポケモンに話し掛ければいいのか、
限られた時間に適切に判断できてこそ、プレイヤーはピカチュウと
お友達になれる。

気がついたら夕方だ。「オーキドはかせ」が帰る時間だと言ってる。
今日も得点がない。やばいぜ。

と思いつつ、しばらくやりこんで、すっかりお友達になりました。
でも、どんなエンディングが待っているのか想像がつかない。

ゲームとしての基本条件を満たしているので、
こいつを評価しても音声対話システムの評価というより
作品としての「げんきでちゅう」の評価になってしまう。
ゲーム批評を書くのがせいぜいか。。

とくに「つり」が気に入っています。
ボキャブラリーが「ひっぱれ」「がんばれ」「しっかりひっぱれ」
しかいらないので。
難しいのは宝捜し系ですね。これは3Dスティックへの慣れかも。

「ピカチュウ」でこっちを向かせる=発話権の取得
「たからばこ」で、付近のたからばこを探させる

といった感じのコミュニケーションです。

どのシーンも時間制限があるし、音声と3Dスティックとの
マルチモーダル操作なので、ゲーム性には事欠きません。

「ピカチュウげんきでちゅう」には音声認識業界の常識を
(たぶん)くつがえすネタがいっぱいあります。

たとえば、首にかけるマイクホルダー。
従来のヘッドセットの欠点であった
「髪型がへんになるので頭にくっつけられない」
という問題を克服しています。
今後はこのスタイルがブレイクするだろう。

あと、発話した音声が「シャボン」として視覚化される。
これもなかなか。

つい誰かに話し掛けるときにZボタンを押しそうになるぞ。

まあなにより
「うまく動かなくても開発者ではなくて自分を責めてしまう」
というところが画期的かも。私はそういうのが好きです。

誤認識されてるっぽいこともあるのですが、
「相手がピカチュウだから」
という理由で、自分を責めてしまうのです。
ピカチュウというキャラクターには、そう思わせるだけの必然性がある。

Takuya NISHIMOTO
Last modified: Thu Jan 21 16:47:07 1999