CSUN 2001 パーソナルレポート
- 作成者:西本 卓也
- 更新日:2009-09-06(第10版)
このページは私が2001年3月19日から24日まで参加した障害者支援技術の国際会議
CSUN "Technology and Persons with Disabilities" Conference
についてのレポートとリンク集です。自分のためのメモとして作成しています。
私は主に音声インタフェースや音声応用システムに興味を持っているので、
自分で見たり聞いたりしていない話は割愛しています。ご了承ください。
お読みになった方からの御感想やコメントを歓迎します。
関連情報
CSUNについて
Monday, March 19 / Preconference Sessions
Overview of Assistive Technology
- CSUN Conter of Disablities のスタッフによる AT の概説
- 1: Introduction
- 2: Legislatin and Funding
- 3: Team Building / Leadeship / AT Assesment Process / SETT Framework
- 4: Areas of AT
- 5: Resources
- http://www.csun.edu/cod/
- http://www.abledata.com
- AT はハイテクからローテクまで、要素技術から社会科学まで、とにかく 幅広い。
Tuesday, March 20 / Preconference Sessions
AM: Jawbone Technology
- Jawbone とは、スクリーンリーダー JAWSと音声入力ソフト Dragon Natulally Speaking (DNS) を
使う一種のミドルウェアである。
- http://www.ngtvoice.com
- VoiceATOKを視覚障害者でも使えるようにしたもの、という雰囲気。
- ウェブサイトには RealVideoによるデモがある。
- 音声入力のコツなども披露していた。
- 例えば:"Think first, talk second"など。
- 音声認識のトレーニングには20-30時間かけてください、とのこと。
PM: AT for Visually Impaired
- 実際に視覚障害者であるL.Vickeryさんによる各種 AT機器の説明とデモ。
- AccessAbilitiy, Inc の人がそれぞれの製品に補足説明をしていた。
- http://www.4access.com
- OPENBooks 5.0 (Arkenstone=Freedom ScientificのOCR)のデモCDをゲット。
- Windows-Eyes (GW MICROのスクリーンリーダー)のデモCDをゲット。
- 開けてみたらどちらも解説カセットテープ入りだった。
- Vickery さんのお勧めは音声認識PDAのVoiceMate (Parrot社製)
- http://www.voice-assistant.com
PM 7:00- Reception
Wednesday, March 21 / General Sessions
AM 7:30: Keynoe Address by John Hockenberry
- 日本でいえば「車椅子の久米宏」。NBCキャスター。
前日のレセプションでのトークはとても面白かった。
でもけっきょくキーノートは寝坊してしまいました。インターネット中継あり。
- http://www.abletv.net
AM 9:20: Getting Accessibility Information From Microsoft
AM 10:40: Connect Outloud
- JAWS で有名なFreedom Scientific (Henter-Joyceが Blazie, Arkenstoneと合併してできた新会社)が、
Internet Explorer と Outlook Express に特化して作ったJAWSの廉価版(だと思う)。
- http://www.freedomscientific.com
AM 12:00-12:30: Universal Access Copier System
- 通称「508条」により、アメリカではアクセシビリティのない製品を官公庁に売る
ことができなくなる。だから現在メーカは508対策に必死。
- American Foundation For The Blind の Mark Uslan らによる、
音声入力つきコピーマシンの評価実験。
- http://www.pitneybowes.com
- http://www.pb.com
- Jowbones といいこれといい、後から私が見るさまざまな製品といい、
音声認識はこの世界では、めちゃめちゃホットで役立つソリューションだと
認識されている。驚いたり感心したりの一週間です。
PM 1:30: Creating an Accessible Apps Using Mainstream Tools
- メインストリームツールってなにかと思ったら、
Visual Basic で「ユーザ補助」機能と相性のいいアプリを書く方法の説明だった。
PM 14:50: LILA
PM 16:00: Exihibit
Thursday, March 22 / General Sessions
AM 8:00: Beyond Captioning
- Digital TV時代になると字幕も便利になる、という話。
- 聴覚障害者の人が手話で熱心に質問をしていたのが印象的。
AM 9:20: SMIL
AM 10:40: Exhibits
PM 13:00: Linux Accessibility Conference
- 実はHilton Hotelの地下でひっそりこんなことをやっていた。
- GNOME と Mozillaのアクセシビリティの現状報告。
- SUN は GNOMEの開発にも深くコミットしつつある。
- Linux のアクセシの全体像は4階層。
- アプリケーション
Mozilla (Gecho only) / Gnome App / Java JAA / OpenOffice.org etc.
これらはそれぞれ違う実装でアクセシを実現
- AT SPI (ORB) .. ここの詳細を話し合うのが目的だったらしいけど。。
- AT
スクリーンリーダ/画面拡大ソフト/音声インタフェース
- ビルディングブロック
TTS / ASR
- Festival の Alan Black さんが午前中にいろいろ喋った(らしい)
- GTK+2.0 に対応するATK+の開発が進行中。
- MSAA / Java AA などをお手本にしているようだ。
- ATK+ は KDE=Qtなどからでも使えるようにしたい。
- Mozilla はまだまだ?SourceForgeに情報あり。
- 少人数の集まりだった。あまり真面目に聞かずに逃げてしまった。
- プログラマーじゃない人が聞いても分からないと思う。。
PM 14:00: W3C User Agent Accessibility Guidelines
- Webブラウザのアクセシビリティ機能の解説。
- 主に IE と Opera によるデモ。実はOperaって弱視者対応が強力!
- ユーザがスタイルシートを切り替えることで、いろんなことができる。
それが Accessible Browser Project。
H1以外は隠す、みたいなことが簡単にできる試作ブラウザのデモあり。
- http://www.w3.org/WAI/UA/
PM 16:40: AccessX
PM 19:00: Sun's Evening Session
- Built-in vs. Bolt-on
- Windows は成熟しすぎた技術。ビルトインできない。
- Javaにはビルトインするチャンスがある。
- オブジェクト指向技術の美徳を生かすべき。
- ゲスト=Oracle 社のアクセシビリティの取り組み
- Sun の Java AA を使いやすくする自社ライブラリ EWT/JEWT の利用
- Freedom Sci. や GW MICRO とも協力している
- http://www.oracle.com/accessibility/
- ふたたびSunの講演。Swing の Java AA実装の詳細を説明。
- JSlidner implements Accessible
- Java Web Start 技術の紹介
- MS Java VM は JAA 非対応
- Java Acc Helper :アクセシ実装度テストツール (June 2001)
- 質問:Mac は?→Apple VM待ち。Mac OS Xから。
- X Window のアクセシビリティは難しい
- GNOME ならビルトインできる。(以下昼間の Linux Acc Conf と同じスライド=実は同じ講演者)
- http://developer.gnome.org/projects/gap/
- GNOME 2.0 は X に依存しない=点字や音声出力PDAにも実装できる
- GNOME 上のスクリーンリーダーと画面拡大のデモ(まだ不安定or技術プレビュー的)
- 未来は JINI=Spontaneous Networking
- 車椅子からカーテンを開けたりライトをつけたりするデモ
- 去年の JavaOne のデモと同じ、とのこと。
- タイプライタはもともと視覚障害者の表現手段だった。JINIもそうなれば。。(ホント?)
- http://www.sun.com/access/
- Free food はちょっとしか食べられなかった。。。
PM xx:xx: Hilton
- UDITツアーの宴会部屋に遊びに行ったら、KGS株式会社の皆さんのお部屋に行くことに。
お邪魔しました。お騒がせしました。ありがとうございました。
Friday, March 23 / General Sessions
12:00: Japanese Lunch
- 日本人参加者だけ招待されたスイートルーム昼食会。
- 今年の日本人参加者は35名とのこと。もっと増えてほしいので宣伝してほしいとのこと。
- こっそり参加している日本企業の人がたくさんいる、といううわさも。
PM 1:30: Teletext Receiver by Finger Braille
- 千葉大学の堀内先生による指点字リーダーの発表。
- 質疑応答を聞いていて、アメリカでは点字の普及率が高く、
指点字が普及していない、という事実が分かってきた。
PM 2:20: MSN Explorer
PM 3:40: NEMO: Speak, Control, Relax
- Voice Activated Environment Control
- 学習機能つき赤外線リモコンが単語音声認識で動く。
- Palmをふたまわり大きくしたような匡体。パソコンとの接続は不要。
- 車椅子へのアタッチメントや外部バッテリーあり。一式 $5,995とのこと。
- 認識結果のフィードバックや確認など、実用性を高める工夫が見られた。
- 使う前に話者と環境ごとにトレーニングをする、というのが前提らしい。
PM 5:00: Oblique Listening Method
- 日本IBMの鳥原さんの「流し読み」のような音声読み上げ。
- デモのおかげで狙いと手法はよくわかった。
- http://www.torihara.com/
- ちなみに、晴眼者がこの方法を使うと「集中しすぎて疲れる」と不評らしい。
求めるものが違うんですね。
- 発表の後で、鳥原さんと鈴木さんと3人でサンタモニカに食事に。
お洒落な?アジア料理店でディナー。
- ビルマカレーを食べながら聞いた話ですが、盲導犬って200万円するんですって?
アメリカでは希望すれば個人負担しなくても盲導犬が持てるのだそうです。
Saturday, March 24 / General Sessions
AM 8:00: E-Commerce Made Easy
- 視覚障害者自身による発表。
- 自分が CDNOW.com でどうやって Billy Joel のアルバムを買うかを実演。
- http://www.cdnow.com
- 使用環境はIE+JAWS
- テーブルを多用しているページの中で欲しい情報をさがすのは大変そうだ。
- ページ内の移動、リンクリストでの「リンクへの移動」「リンク先への移動」を駆使。
- アカウントを作ろうとしたら JAWS がハングアップしてそこで実演終了。
- 質疑応答でも「あそこはアクセシブルだ」「あそこはダメ」といった意見多数。
- ALT が間違っていて「View Source」を読み上げた、という人も。
なんでも「キャンセル」「戻る」「キャンセル」の3つしか選択肢がなかった。
最初の一つは「送信」の間違いだったのだそうです。
- IBM Home Page Reader はフォーム入力操作の評判が良い。
- JAWS は MSAAモードとFormモードの切り替えが必要?(よく聞き取れなかった)
- 英語のスクリーンリーダーにも読み上げ間違い?はある。
例えば "52nd street" は fifty two N D street と読み上げていた。
AM 8:00: Panel Discussion on Trends in Mainstreem and Access Technology
- 視覚障害者の支援技術とメインストリーム技術の今後、というテーマのパネル討論。
- Sensory Access Foundation とソフトベンダーがパネラー。
- http://www.sensoryaccess.com
- 途中から聞いて途中で抜けたので全体の流れは不明。
- Visual Studio での MSAA の対応が重要
- Visual Test のようなアクセシ評価ツールが必要
- 連邦政府の役割が重要
- PDA : Palm にかわるデバイスとして NoteTaker などを考えていきたい
- 使う側からのフィードバックが非常に大切
おまけ
- 去年京都からUCLAに移った「知り合いの知り合い」と会う。初体面。
彼の赤いビートルで、マリナ・デル・レイ、ベニスビーチ、サンタモニカ、ウエストウッド、UCLA、ビバリーヒルズ、
ハリウッド、ダウンタウン、カルバーシティをドライブ。
山内さん、ありがとう。研究がんばってください。
いつかまたオープンソースの話をしましょう。
- ホテルの部屋でいつも聞いていたのは
KCRW-FM というサンタモニカのコミュニティFM。
音楽はジャズ/ヒップホップ/ダンス系。
NPR (National Public Radio) がニュースなどを提供している(らしい)。
テレビはほとんど見ませんでした。
- 名刺が足りなくなったのでMarriott のKinko's で作ってみた。
実はKinko'sは日本でも使ったことがなくてこれが初体験。
フォトコピーで作ってくれるのかと思いつつ
「英語だけでいい」と言ったらMicrosoft Publisher 2000で
打ち直してくれた。Publisherで名刺が作れるとは知らなかった。
料金は100枚で、文書作成 $14.95, 用紙(レターサイズ) $0.36 x 15 = $5.40,
裁断 $2.00 x 9 = $13.50, フロッピー $0.99, 消費税 $2.79 で合計 $37.63。
フロッピーにはPublisherのデータとPDFファイルを入れてくれた。
さすがに100枚でも多すぎました。半分以上あまってます。