Last modified: Wed Aug 26 12:07:01 1998
, Takuya NISHIMOTO
輪講資料:Marketing in Hypermedia CME
- http://www2000.ogsm.vanderbilt.edu/cmepaper.revision.july11.1995/cmepaper.html
Donna L. Hoffman,
Thomas P. Novak,
Marketing in Hypermedia Computer-Mediated Environments: Conceptual
Foundations
1) Introduction
ハイパーメディア・コンピュータメディア環境 (HCME)
におけるマーケティングの役割について述べる。
WWW は HCME の地球規模での実装の第1段階だと考える。
マーケッターにとって、
Internet が重要である理由:
- ネット上でビジネスができる
- 市場は分散型(多対多)の電子商取引(EC)
システムを求める
関心はインタラクティブ TV ではなく、Web に移った
- 内容の広がり:オープンで敷居が低く、誰でもコンテンツを作れる
- 実験が容易:初期のInternet ECは企業と研究機関の共同が主体だった
本論文では flow という概念の枠組を提示する。
従来のマーケティングは「サイトのアクセスを増やすためのもの」。
サイトをいかに作るか? 商品を買わせるには?
繰り返しアクセスしてもらうためには?
心理学、コミュニケーション論、組織行動学、コンピュータ科学から
理論を借りて次の2つを述べる。
- HCME という革新的な新メディアの紹介
- 消費者行動のモデル化と検証方法の提示
2) HCME
- モデル1:マスメディア
- 1つの企業からたくさんの個人に一方的に情報を送る。
インタラクションはなし。
静的情報(文字/静止画)と動的情報(音声/動画)がある。
- モデル2:個人同士のコンピュータメディア通信
- 個人同士のインタラクションが特徴。
1つのコミュニケーション経路は他には影響しない。
- モデル3:HCME
- ハイパーテキスト=非シーケンシャル
マルチメディア=静的情報と動的情報の統合
HCMEの定義:動的で分散型で地球規模のネットワークと、それに用いるハード/ソフト
-
消費者と企業がどちらもハイパーメディアコンテンツを提供でき、
アクセスできる。
- 個人間のコミュニケーションがある。
- ネットワークナビゲーション=自主的に HCME を移動していくプロセス
- HCME のネットワークナビゲーションでは、
無限の選択を与えることもできるし、制限をつけたり、
階層構造を与えることもできる。
- 図3の元になっているのは図4
- 送り手と受け手は直接繋がっていない。「相手に情報を送る」というより
「送り手によってメディア環境が作られ、
受け手によってその環境が体験される」
- インタラクティビティとは
- メディア環境における形式と内容をリアルタイムに
変更することがどれくらい許されているか、の度合
- テレプレゼンスとは
- メディアを介した環境の知覚
- テレプレゼンス体験の「強さ」とは
- 「物理的な環境」に比べて「HCMEが与える環境」がどれだけ大きく感じるか、
の度合
- 図3がどんな関係を含んでいるか?
- 図1と2は図3に含まれてしまう
- ウェブサーフィンによって客がメディアと相互作用
- 企業同士の取り引き
- 企業がコンテンツを提供
- 最も革新的:消費者が商品情報を提供できてしまう
メディアの分類:
表1は HCME がなかった時代の分類で、いまは役に立たない。
表2:客観的な尺度による分類を提案。
- person interactive
- machine interactive
- リンクの有無
- 通信モデル (1-to-many/many-to-many/few-to-few/1-to-1)
- コンテンツ(text, image, audio, video, experiental)
- media feedback symmetry (例えばInteractive CDは情報量が非対称)
- temporal synchronicity : リアルタイムか、非同期型か
図5は、表2を非線形主成分分析したもの。
2つの軸を著者が解釈すると、「動的/静的」と「大衆的/個人的」
- WWW+Video はもっとも典型的なメディアである
- WWW の form 機能はメール/ニュースに近い
- WWW が図の中央にある=様々な他のメディアを統合している
例えば short term(放送) と long term (印刷) の両方の
特性を持たせられる。
3) ネットワークナビゲーションのプロセスモデル
4) flow の前提と結果
flow 概念はもともと playfulness として定式化された。
多くの研究者がコンピュータと人間のインタラクションに有益と指摘。
flow が起こると:
- 自分の行動を制御し、自分と環境の区別がなくなる
- 自己の意識がなくなる
- 時間の間隔がゆがむ
- 心理的に満足を得る
flow が起こる条件は:
インタラクションにおける能力と挑戦(skill and challenge)のバランスが整うこと
flow させれば客を HCME にとどめておくことができる。
- CME における flow は連続的に測定できる。
また、flow は前提と結果から推論できる。
- ダンスでの踊りやすさの実験
- ポケベルで連絡してランダムな時間にアンケートを書かせる実験
- ネットワークナビゲーションにおいては duration time が重要
- flow するためには:
skill と challenge が合致して微妙な境界値にあり、
かつ、focused attention があること。
- レベルが低過ぎると退屈。高過ぎると挫折。
- レベルが低めの方がリラックスできる、という研究も。
- 注意を引きつけるためには、vividess と interactivity が重要。
- vividness は広さ(感覚の次元数)と深さ(分解能/質)で決まる
外的動機/内的動機も重要な特性
- 外的動機:何か結果を得るために機械的に行動
- 内的動機:興味や好奇心だけで行動
内的動機は没頭感を強める
- さらに、interactivity と telepresence が flow を強める
個人差が大きい。ユーザのレベルごとに操作方法を変えるのは有益。
- ゴール指向と体験指向の2種類の flow がある
- ゴール指向:意図的、選択的、有方向、実用的
オンラインショッピングなど
- 体験指向:時間潰し、娯楽、永続的、無方向、快楽的
普通のネットサーファー
両方の flow の存在を知り、両方に対応するサイトを作るべき。
- 検索の動機と、関わり方(ときどき/いつも)によって flow が違う。
- 従来のメディアにおいては、体験指向で得た記憶は残りにくかった。
しかし、CME には外部記憶があるので、その差はなくなる。
- 従来の意志決定モデルは、体験指向 flow に役立たない
通用するのは「人は最小労力で問題を解こうとする」ということ。
- 利用回数と利用時間の割合をみると、
電話番号検索とチャットユーザの違いが明らか
- 構造化メニュー:客が理解できる範囲の選択量なら有益
- 知的インタフェースエージェントの
第1段階は、検索エンジンだ
- 最も優れたエージェントは、
客が自分で勝手に目的を実現することを許容する
- 有効そうなアプローチ:
似た要求の客をグループにしてまとめて応対する
- 体験的 flow により skill が向上したユーザにおいては、
ゴール指向 flow のバランスも変化する
HCME の本命はゴール指向ではなく、体験指向である
- 体験的flow において、skill/challenge は人それぞれ均一ではない
- 体験的 flow を好むユーザは、刺激を感じるレベルが高い
- flow 体験者は、知覚したことをよく覚えている人である
- Perceived Behavioral Control (自覚的行動制御?)
の強い人ほど flow する
- 探検的行動をする人ほど flow しやすい
- 体験を肯定的に感じる人ほど flow しやすい
- flow が時間の圧力を減らし、サイトにいる時間を長くするためには、
有益な情報を探すための時間を増やすとよい
flow が起こす問題点
5) 分析方法
6) まとめ