Last modified: Wed Aug 26 12:07:01 1998 , Takuya NISHIMOTO

輪講資料:Marketing in Hypermedia CME

1) Introduction

ハイパーメディア・コンピュータメディア環境 (HCME) におけるマーケティングの役割について述べる。

WWW は HCME の地球規模での実装の第1段階だと考える。

マーケッターにとって、 Internet が重要である理由:

  1. ネット上でビジネスができる
  2. 市場は分散型(多対多)の電子商取引(EC) システムを求める
    関心はインタラクティブ TV ではなく、Web に移った
  3. 内容の広がり:オープンで敷居が低く、誰でもコンテンツを作れる
  4. 実験が容易:初期のInternet ECは企業と研究機関の共同が主体だった
本論文では flow という概念の枠組を提示する。

従来のマーケティングは「サイトのアクセスを増やすためのもの」。 サイトをいかに作るか? 商品を買わせるには? 繰り返しアクセスしてもらうためには?

心理学、コミュニケーション論、組織行動学、コンピュータ科学から 理論を借りて次の2つを述べる。

  1. HCME という革新的な新メディアの紹介
  2. 消費者行動のモデル化と検証方法の提示

2) HCME

モデル1:マスメディア
1つの企業からたくさんの個人に一方的に情報を送る。 インタラクションはなし。 静的情報(文字/静止画)と動的情報(音声/動画)がある。
モデル2:個人同士のコンピュータメディア通信
個人同士のインタラクションが特徴。 1つのコミュニケーション経路は他には影響しない。
モデル3:HCME
ハイパーテキスト=非シーケンシャル
マルチメディア=静的情報と動的情報の統合
HCMEの定義:動的で分散型で地球規模のネットワークと、それに用いるハード/ソフト
  1. 消費者と企業がどちらもハイパーメディアコンテンツを提供でき、 アクセスできる。
  2. 個人間のコミュニケーションがある。
ネットワークナビゲーション=自主的に HCME を移動していくプロセス
HCME のネットワークナビゲーションでは、 無限の選択を与えることもできるし、制限をつけたり、 階層構造を与えることもできる。
図3の元になっているのは図4
送り手と受け手は直接繋がっていない。「相手に情報を送る」というより 「送り手によってメディア環境が作られ、 受け手によってその環境が体験される」
インタラクティビティとは
メディア環境における形式と内容をリアルタイムに 変更することがどれくらい許されているか、の度合
テレプレゼンスとは
メディアを介した環境の知覚
テレプレゼンス体験の「強さ」とは
「物理的な環境」に比べて「HCMEが与える環境」がどれだけ大きく感じるか、 の度合
図3がどんな関係を含んでいるか?
図1と2は図3に含まれてしまう
メディアの分類: 表1は HCME がなかった時代の分類で、いまは役に立たない。

表2:客観的な尺度による分類を提案。

図5は、表2を非線形主成分分析したもの。 2つの軸を著者が解釈すると、「動的/静的」と「大衆的/個人的」

3) ネットワークナビゲーションのプロセスモデル

4) flow の前提と結果

flow 概念はもともと playfulness として定式化された。 多くの研究者がコンピュータと人間のインタラクションに有益と指摘。

flow が起こると:

flow が起こる条件は: インタラクションにおける能力と挑戦(skill and challenge)のバランスが整うこと

flow させれば客を HCME にとどめておくことができる。

  1. CME における flow は連続的に測定できる。 また、flow は前提と結果から推論できる。
  2. flow するためには: skill と challenge が合致して微妙な境界値にあり、 かつ、focused attention があること。

    外的動機/内的動機も重要な特性

    内的動機は没頭感を強める
  3. さらに、interactivity と telepresence が flow を強める
    個人差が大きい。ユーザのレベルごとに操作方法を変えるのは有益。
  4. ゴール指向と体験指向の2種類の flow がある 両方の flow の存在を知り、両方に対応するサイトを作るべき。
  5. 検索の動機と、関わり方(ときどき/いつも)によって flow が違う。
  6. 従来のメディアにおいては、体験指向で得た記憶は残りにくかった。 しかし、CME には外部記憶があるので、その差はなくなる。
  7. 従来の意志決定モデルは、体験指向 flow に役立たない
    通用するのは「人は最小労力で問題を解こうとする」ということ。
  8. 体験的 flow により skill が向上したユーザにおいては、 ゴール指向 flow のバランスも変化する
    HCME の本命はゴール指向ではなく、体験指向である
  9. 体験的flow において、skill/challenge は人それぞれ均一ではない
  10. 体験的 flow を好むユーザは、刺激を感じるレベルが高い
  11. flow 体験者は、知覚したことをよく覚えている人である
  12. Perceived Behavioral Control (自覚的行動制御?) の強い人ほど flow する
  13. 探検的行動をする人ほど flow しやすい
  14. 体験を肯定的に感じる人ほど flow しやすい
  15. flow が時間の圧力を減らし、サイトにいる時間を長くするためには、 有益な情報を探すための時間を増やすとよい
flow が起こす問題点

5) 分析方法

6) まとめ